大学院生TAの時給1,800円|3コマで月3万2,000円

目次

この記事でわかること

大学院生のTAについて、時給と月収・長期休みの収入・持てるコマ数・仕事の中身・声がかかる順番・タダ働きの防ぎ方を整理した図解
時給は高くても、3コマで月におよそ3万2,000円でした
あきら
✅ 時給の高さにひかれて引き受けました
✅ 演習2つと講義1つの3コマを修了まで担当
✅ 結果、週4.5時間の勤務で月3万2,000円ほどの収入に
✅ 授業料免除と、JASSO奨学金の全額返還免除も取得
✅ 社会人2年目の今、お金と時間の実際を振り返ります

TAをやるかどうか迷って、時給を調べにきた方が多いはずです。調べると「時給が高い」「破格」と書いてある記事が並ぶんですよね。

でも実際に週3コマを担当してみると、授業のある月でおよそ3万2,000円でした。稼ぐ手段としては物足りませんが、週3コマ程度までなら引き受けたほうがいいと思っています。

この記事は、TAを引き受けるか迷っている院生へ、演習2つと講義1つの3コマを修了まで担当した立場から、月にいくらもらえて、何コマまで持てて、どこでタダ働きが起きるのかをお伝えするものです。

なお、ここで扱うのは給料が出るTAの話です。研究室で頼まれるコピーや資料作りは別の話なので、そちらで困っている場合はこちらもあわせてどうぞ。

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結論:TAは稼ぐ手段ではなく、週3コマ程度までがおすすめ

まとまったお金がほしいなら、TAは向いていません。それでも週3コマ程度までなら引き受けたほうがいいと思っていて、理由は自分の勉強になる・研究室の外の学生と知り合える・どこで分からなくなるかは人によって違うと知れる・移動時間なしで働ける、の4つです。

私は週3コマ持っていました。研究の締め切りと重なったときはきつかったものの、修了まで3コマとも担当しきれました。そのくらいが上限の目安だと思います。

一つだけ、先に書いておきたいことがあります。私たちの本分は研究です。 TAは学部生や先生から頼られる仕事なので、やっていると楽しくなって、つい担当を増やしたくなります。でも学位を出すのも、就活で話すことを作るのも研究です。TAもバイトも、研究の時間を削らない範囲でやるものだと思っています。

教えていると、自分の勉強になります

学部生に説明していると、自分が分かったつもりでいたところが見つかります。研究は答えのないものを自分で考えますが、TAは答えのある内容を人に説明するだけなので、いい息抜きにもなります。

自分の研究室にいない学生と知り合えます

研究室にこもっていると、話す相手が同じ顔ぶれになっていきます。TAをやると、自分の研究室にいない学生と毎週顔を合わせます。研究室の外に知っている顔が増えていくのは、思っていたよりありがたいことでした。

どこで分からなくなるかは人によって違うと知れます

同じ説明をしても、すぐ分かる学生もいれば、まったく別のところでつまずく学生もいます。自分の説明の仕方は、自分と同じ順番で理解する学生にしか通じていなかったと分かりました。

移動がないので、授業の時間だけで済みます

私にとっては、これが決め手でした。TAは学内の仕事なので、授業のある教室まで歩いて、終わったら研究室に戻るだけです。学外でバイトをすると移動時間まで取られますが、TAにはそれがありません。

まず一歩:今学期、TAに使える時間が週に何時間あるかを数えてみてください。

時給は高いのに、月の総額は伸びません

時給が高くても総額が伸びないのは、給料が出るのが教室にいる時間だけだからです。私は3コマで月におよそ3万2,000円。授業前の準備は勤務時間に含まれず、長期休みには収入そのものがなくなります。

私の場合は時給1,800円で、コマが違っても同じでした

演習2つと講義1つを担当していましたが、時給はどれも同じでした。少なくとも私の大学では、コマごとに差はつきませんでした。私の場合は時給1,800円。1コマは1.5時間なので、1コマ分の給料は2,700円です。

この時給は高いほうです。国立大学では、修士で時給1,300円という例もありました(2022年時点/出典:名古屋大学 宇宙地球環境研究所 宇宙線研究部)。ただしこれは一つの研究室が公開している金額です。大学や課程によって差が大きいので、自分の大学でいくらなのかは先に確認しておくと安心です。

3コマで、月におよそ3万2,000円でした

授業は週に1回なので、1コマにつき月4回。1コマ2,700円×3コマ×4回で、月におよそ3万2,000円です。祝日や休講の有無で数千円ほど前後するくらいで、多い月でもこのくらいでした。

時給1,800円と聞いたときに想像していた額とは、だいぶ違うと思います。私はここに日本学生支援機構(JASSO)から借りていた奨学金8万8,000円と、飲食店のバイト3万円ほどを足して、月15万円くらいで生活していました。TAだけで生活はできません。奨学金とバイトで足りない分を埋める収入源の一つという位置づけです。

ちなみに修士の最後の1年半は、その飲食店のバイトを辞めて、収入の3万円ほどを親に借りることにしました。空いた時間は実験とデータの整理にあてました。お金をどこから持ってくるかの順番は、別の記事にまとめています。

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授業前の準備には、給料が出ません

私が引き受ける前に想像していなかったのが、この準備の時間でした。

給料として計上されるのは、演習でも講義でも、教室にいる時間だけです。前の週の授業で扱った内容を見返したり、聞かれそうなところを調べておいたりする時間は、給料の対象になりません。

私の場合、この見返しと調べものにかかったのは1コマあたり15〜30分ほどでした。大きな負担ではありませんが、その分の給料は出ません。

例外は、授業を担当する先生から事前の準備をはっきり頼まれたときです。そのときは、かかった時間を1時間単位で勤務時間に足してもらえました。逆に言うと、頼まれていない準備は自分の時間ということです。

夏休みと春休みは、TAの収入がなくなります

見落とされやすいのが、この長期休みです。

給料は授業の時間に対して出るので、授業がない期間は収入もありません。 夏休みと春休みは、月3万2,000円がそのまま消えます。期末の試験監督の補助が入ることもありますが、たいてい学期が始まって14〜15週目、つまり学期の最後のほうなので、そこを過ぎると収入はなくなります。

学期中の月3万2,000円と、1年でならした金額はけっこう違います。授業があるのは前期(4〜7月)と後期(10〜1月)のおよそ8か月なので、3万2,000円×8か月で年25万円ほど。月あたりに直すと2万円台前半です。学期中の金額だけを見て「毎月3万円入る」と考えていると、年間では合わなくなります。

毎月同じ額が入ってくる仕事ではありません。 休みの2か月で6万円ほど入らなくなるので、学期中に月1万円ずつでも取り分けておくと安心です。

TAだけでは足りない分をどこで埋めるかは、バイトの選び方の記事にまとめています。

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まず一歩:「自分の大学名 TA 募集要項」で検索して、時給がいくらかだけ見ておいてください。

コマ数は選べない。M1は1〜2コマのことが多い

持てるコマ数は、その学期にTAの募集が何コマ分出るかで変わるので、自分では選べません。多くの大学は勤務時間で上限を決めていますが、その上限に届く前に、募集のコマ数が先に埋まります。M1なら1〜2コマのことが多く、1コマ増やしても月の収入は1万円ほどしか変わりません。

大学の規則では、上限は「時間」で決められています

私は指導教員から「週に5コマ以上は持てない」と言われていました。ただ、各大学が公開しているTA募集の案内を見てみると、コマ数ではなく勤務時間で上限を定めているところが多いです。自分の大学で何コマまでなのかは、事務に聞けば正確なところを教えてもらえるはずです。

大学TAの勤務時間の上限
東京大学月40時間以内、かつ週20時間まで
早稲田大学週20時間未満、1日8時間まで
立命館大学学期平均で週15時間以内(実働)
徳島大学週28時間まで(医学系大学院の案内)
兵庫教育大学(連合大学院)週30時間まで

出典:東京大学早稲田大学立命館大学徳島大学兵庫教育大学

ただし、ここに並んでいるのは、大学が給料を払う対象として認めている時間の上限です。私の3コマは教室にいる時間だけで週4.5時間なので、規則の数字にはかなり余裕がありました。実際に持てるコマ数を決めているのは、規則よりも、その学期にTAの募集が何コマ分出るかです。

私は3コマ持っていましたが、多いほうでした

私は演習2つと講義1つで3コマを担当していましたが、これは多いほうでした。私の指導教員が担当している授業が、もともと多かったという事情もあります。

最初に声をかけてもらえるのは、たいてい指導教員が担当している授業のTAです。ただ、そこだけに限られるわけではありません。私は別の先生が担当する講義のTAも引き受けていました。指導教員の授業が少なくても、そこで打ち止めになるわけではないです。

コマを持ちすぎると、研究の締め切りと重なったときにきつくなります

これはしんどかったところです。

学会の直前でも、授業は普通にあります。 発表資料が仕上がっていなくても、その時間は教室にいなければいけません。授業の時間だけは動かせないので、研究に回せる時間がそこで削られます。

しかも、1コマ増やしても増えるのは月1万円ほどです。4コマ以上引き受けると、研究が押しているときの負担に見合わなくなります。

声をかけてもらえた分だけ引き受けたくなりますが、週3コマ程度までと先に決めておくと、断るときも気が重くなりません。

まず一歩:引き受ける前に、その学期に何コマまでなら回せそうかを先に決めておいてください。

やるのは質問対応と出欠確認。資料作りはM2から

TAの仕事は、学生からの質問に答えることと、出欠を確認することが中心です。講義資料を作るような授業の準備を任されるのは、私のまわりではM2からでした。

演習にTAが必要なのは、質問が出るからです

私が担当した3コマも、2つは演習でした。演習は学生が自分で問題を解く時間があるので、その分質問が出ます。先生ひとりでは全員の質問に対応しきれないので、そこにTAが入ります。

出欠の確認も、人数が多い授業だと時間がかかります。この2つが主な仕事でした。

指導教員の講義だと、採点を頼まれることもあります

自分の指導教員が担当している講義だと、採点を手伝うこともありました。普段の小テストなら短時間で終わりますが、中間試験や期末試験のように成績に直結するものは2〜3時間、長いときは6時間ほどかかります。授業のコマ数とは別に、この時間が乗ってくることは知っておいたほうがいいです。

採点まで頼まれるかどうかは、その授業を担当している先生と普段どれくらい話しているかで決まります。頼まれたときは、勤務時間に入るかを先に確認しておくと安心です。

資料を作るのは、M2や博士課程の人でした

私のまわりでは、講義資料を作ったり、その回に何をやるかの組み立てまで任されたりするのは、M2や博士課程の人でした。M1のうちから任されることは、私のまわりでは聞きませんでした。

つまり、M1のうちは授業を組み立てる側の仕事までは回ってこないということです。研究の負担が増えるのを心配しているなら、任される作業の重さではなく、引き受けるコマ数だけ気をつければ大丈夫です。

まず一歩:引き受ける前に「何をどこまでやるのか」を先生に確認しておいてください。

先に声がかかる人がいて、公募に出るのは残った募集

あなたに声がかかったのは偶然ではありません。授業を担当する先生は、ゼミでの発表や頼まれごとへの対応を普段から見ている院生に先に声をかける傾向があって、公募として出るのは残った分だからです。

私は指導教員から声をかけてもらいました

自分で応募したわけではなく、指導教員から「やってみないか」と言われたのが最初でした。

TAを割り当てるのは、学部生の授業を持っている先生です。私のときも、普段から様子を知られている院生に先に声がかかっていました。声かけで埋まらなかった分が、あとからTAの募集として公開される、という順番です。

私の大学では掲示板に出て、詳しくは事務室に聞いてください、と書かれていました。メールで回ってくることもあります。出し方は大学によって違うので、事務に一度聞いておくと確実です。

公募が出る前に、誰に声をかけるかは決まっています

これは言いにくいことなのですが、普段の様子を知られている人から順に決まっていく印象でした。

ゼミでの発表や、頼まれたことへの返し方。そういう日々のやりとりを、授業を担当する先生は募集を出す前から見ています。「TAをやりたいのに声がかからない」と感じるときは、応募先を探すより、指導教員に「TAをやってみたい」と一言伝えておくほうが、TAの話が来やすいはずです。

もちろん公募もあるので、声がかからなければ、募集を見て応募すれば大丈夫です。ただ、声かけが一巡したあとに残っている授業から選ぶことになるのは知っておいたほうがいいと思います。

まず一歩:指導教員に「TAに興味があります」と一言だけ伝えておいてください。

タダ働きは「授業後の質問」と「先生からの頼まれごと」で起きる

タダ働きになるのは、授業が終わったあとの質問と、先生から時間外に頼まれる作業です。起きる場面が決まっているので、無給で受ける上限を先に決めて、超えそうなら学内の窓口を紹介すれば防げます。

授業後の質問は、勤務時間に入りません

授業が終わったあとに、その日の演習で解けなかったところを聞きに来る学生がいます。ここは勤務時間の外なので、お金は出ません。

かといって「時間外なので」と突き放すのも違うと思っていました。だから私は、無給で受けるのは、その週の合計で1時間くらいまでと自分の中で決めていました。 時計をきっちり見ていたわけではなく、授業後の質問が10分ほど3〜4回続いたらそこで区切る、くらいの感覚です。

週1時間はあくまで目安で、月に1回くらいは、話していて面白い学生とそのまま30分ほど話し込むこともありました。

週1時間を超えそうな相談は、学内の窓口を紹介していました

長くかかりそうな相談は、学部生の質問を受け付けている学内の窓口を紹介していました。 その場で窓口の名前と場所を伝えて、「そこなら時間を取って教えてもらえます」と言い添えるだけです。私の大学では、大学の予算で運営されているので学生は無料で、博士課程の学生が対応してくれる窓口でした。

こういう窓口は、大学によって名前が違います。学習相談室、ラーニングサポート室、学習支援センターなどの呼び方で、北海道大学慶應義塾大学の理工学部のように大学院生が対応している例があります。学部の上級生が答えてくれる大学もあるので、誰が答えてくれる窓口なのかまで見ておくといいと思います。全部の大学にあるわけではないので、なければ指導教員に相談先を聞いておくだけでも十分です。

断り方を考えるより、先に紹介できる窓口を一つ調べておくほうが効果的でした。 紹介先があれば、無給で受ける時間に上限を決めても、学生を困らせずに済みます。

先生からの頼まれごとは、勤務時間に入るか確認します

もう一つは、先生からの頼まれごとです。頼まれる内容によっては、勤務時間の外で作業することになります。

プリントを配る、機材を運ぶといった、その場で数分で終わる手伝いなら、お互いさまだと思って引き受けていました。ただ、一度持ち帰らないと終わらなさそうな作業を頼まれたときは、「その作業は勤務時間に入りますか」と聞くようにしていました。 一度聞いておくと、次からは頼まれた時点で先生のほうから扱いを言ってくれるようになります。聞きにくければ、かかりそうな時間を先に伝えておくだけでも、勤務時間の中に収めてもらいやすくなります。

まず一歩:自分が無給で受けられる上限を「週1時間まで」のように決めておいてください。

TAのコマ数を増やさない分の時間は、研究と就活に使えます

コマを増やさないと決めたら、その分の時間は、実験や執筆を先に進めておくことと、自己分析やインターンの応募に使うのがおすすめです。M1は、TAと研究と就活が重なりはじめる時期だからです。

研究は、進め方を変えるだけで使う時間がかなり変わりました。私が同じところで詰まっていたときの話は、こちらに書いています。

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まとめ:稼ぐ手段としてではなく、週3コマ程度までで引き受ける

  • 時給1,800円でも、3コマで月におよそ3万2,000円でした。 給料が発生するのは教室にいる時間だけで、1コマあたり15〜30分の授業前の準備は自分の持ち出しになります
  • 夏休みと春休みは、その3万2,000円がそのまま消えます。 授業がない期間は収入もないので、学期中に貯めておくのが前提です
  • 持てるコマ数を決めるのは、大学の規則の上限ではなく、その学期に出るTAの募集です。 声がかかりやすいのは指導教員の授業ですが、別の先生の授業のTAもできます。M1なら1〜2コマのことが多いです
  • M1に回ってくるのは、質問対応と出欠確認です。 講義資料づくりや授業の準備はM2や博士課程の担当でした
  • 公募に出るのは、先生が普段から知っている院生に声をかけ終えたあとの、残った分です。 応募先を探すより、指導教員に「TAをやってみたい」と伝えておくのが先です
  • 線引きが要るのは、授業後の質問と時間外の頼まれごとの2つです。 無給で受ける上限を先に決めて、超えそうなら学内の窓口を紹介すると防げます
  • コマ数を増やさないと決めた分の時間は、研究と就活に使うのがおすすめです。 M1はTAと研究と就活が重なりはじめる時期なので、空いた時間を何に使うかを先に決めておくと迷いません

それでも私は、学期に2〜3コマくらいはやってみることをおすすめします。

移動時間がかからないので、学外でバイトをするより研究の時間を削らずに済みます。研究とは違う頭を使うので気分が変わりますし、研究室の外の学生と毎週会えるのは院生生活では貴重でした。金額を目当てにすると物足りませんが、研究を続けながら、お金と気分の両方を少し軽くしてくれる仕事です。

まず一歩:今学期に引き受けるコマ数を先に決めて、そのうえで指導教員に伝えてください。

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