この記事でわかること
あきら✅ そこから国際学会で発表し、学会賞と奨学金の全額免除まで
✅ 今は社会人。人に任せる側になって、放置の理由が分かった
研究室には行っている。でも誰も声をかけてくれない。自分で調べ続けても、そもそも進め方が分からない。いわゆる放置系研究室、というやつだと思います。
一方で同期は、先輩や助教を自分から捕まえてどんどん質問して、なんなら向こうから声をかけられて、面倒を見てもらいながら研究を進めている。なんで自分にはアドバイスをもらえないんだろう。放置しすぎでしょ。これは、学部3年からの私の頭の中です。結局、そこから1年動けませんでした。しんどかったです。
検索すると「放置系の研究室は選ぶな」という話ばかり出てきます。もう配属されたあとだと、読んでもどうにもならないんですよね。
この記事は、すでに放置されている学部生・院生へ、同じ状態で約1年過ごした立場から、どうやって見てもらえるようになったかをお伝えするものです。 先に結論を言うと、きっかけは大きく二つです。一つは学年が上がったこと。もう一つは、先輩と「近い研究」になり、そこから週1で話す場ができたことでした。 後者は自分から作れます。やったのは、2つの行動だけでした。
放置される原因は3つ|自分・相手・研究室
研究の出来が悪いから放置されているわけではありません。原因は3つあります。話す機会が生まれていないこと、一人でできそうに見えていること、そして研究室が見る時期を決めていることです。
自分に起きていたこと:話す機会そのものが少なかった
まず、私は話しかけやすい人ではなかったと思います。
怖い雰囲気が出ていたし、目つきもきつい。誰かが何か教えようと一言くれても、こちらがいろいろな考え方を返してしまうので、「めんどくさいなこいつ」と思われていた気がします。
もう一つは、真面目すぎて雑談ができなかったことです。面白い話にならないので、話す機会そのものが減っていきます。
同期を見ていると、ここが違いました。研究以外の共通の話題、たとえばゲームなんかで仲良くなっていて、その前後の会話で「何に興味あるの?」といったやりとりが生まれている。そこから「じゃあそれは◯◯さんに見てもらったほうがいい」と、先輩が同期を別の人につないでいました。
私はそれができませんでした。研究以外の時間を共有するのが難しくて、研究室にいただけだったんですよね。
ただ、これは性格を直せという話ではないと思っています。あとで書きますが、雑談が苦手なままでも話せる状態は作れました。
相手に見えていたこと:一人でできそうだった
こちらは、社会に出て人に仕事を任せる側になってから分かったことです。
この人はまともそうだし、仮説も一定持って進んでいるし、出してくるものの品質もそんなに悪くない。そう見えると、放置します。 手をかけなくても大丈夫だと判断してしまうからです。
当時の私も、たぶんそう見えていました。実際、先輩に「一人で行けるし、一人で頑張れ」と冗談まじりに言われて、笑い合ったことがあります。笑いながら、心の中では「いや、助けて」と思っていました。
つまり、放置されているのはあなたがダメだからではありません。 できそうに見えていることが、大きいです。ここは、当時の自分に伝えたかったところです。
研究室の事情:見る時期が決まっていることもある
三つ目は、こちらではどうにもならない要因です。
研究室の上の先輩や、研究室自体の考え方によって「この学年にはこのタイミングで見る」がある程度決まっていることがあります。私の場合も、学部4年で卒論が見えてきたころから徐々に見てもらえるようになりました。
つまり、待っていれば見てもらえる時期は来る、とも言えるんですよね。 これを知っているだけでも、少し気持ちが軽くなると思います。
なお、放置ではなく逆に雑用ばかり任されて研究が進まない場合は、別の話になります。そちらは別記事にまとめています。


抜け方は2つ|話す「きっかけ」と、話す「場」を作る
聞きに行く勇気を出そうとするのではなく、①先輩と「近い研究」になるきっかけを作り、②そこから週1で話す場を作ります。 きっかけがあれば何を話すかに困らず、場ができればいつ話すかが決まります。
そもそも、単発で聞きに行くのは難しいです。何を聞けばいいか分からないし、相手の時間を取ってしまうし、聞くならもっと練ってから持っていかなきゃ、と思ってしまう。私も同じでした。
だから、聞きに行く勇気を出すのではなく、聞ける状態を先に作るほうに切り替えます。この二つは、雑談が得意になる必要がないところが大きいです。
① きっかけを作る:先輩と「近い研究」にする
ここで諦めてしまう人が多いと思うので先に書いておくと、近い研究は、まったく同じテーマである必要はありません。
私と先輩も、分野は大枠で一緒でしたが、先行研究で取り上げている分析手法は同じではありませんでした。
むしろ違うほうが、組みやすくなります。 違う手法を持っている二人がいると、「掛け合わせでこういうのもできそうだよね」という話になる。そして掛け合わせでやるということは、二人でやる必要があるということです。必然的に、一緒に時間を取ることになります。
② 場を作る:週1で話す時間を決めてしまう
私の場合は、先輩と週1の勉強会を入れてもらいました。
一度この定期の場ができると、聞き方が変わります。 その時間で何でも聞けますし、前後の雑談で「ちょっと聞かせていただきたいんですけど」「1点だけ質問で」が気軽に言えるようになります。とくに「相手の時間を取ってしまう」が消えます。もともと自分のために取ってもらった時間なので、遠慮しなくてよくなるんですよね。
内容も具体的になります。「次はこういうところを目指そうか」「一旦ここは深く調べようか」「逆にここは軽めでいい、沼りそうだし」と、進める方向まで一緒に決められました。
相手は先輩でも同期でも構いません。作り方は、二通り見てきました。
- 教授に頼んで、相手を決めてもらう:同期に「定期的に話す場が欲しい」と自分から言った人がいて、教授が院生の先輩を当ててくれました
- 似た研究の相手と、自然に始める:私ともう一人の同期は「似た研究だよね」というところから「じゃあ会話しましょう」となって始まりました
場ができたあと|8割で持っていく
ここからは、作った場をどう使うかの話です。納得いくまで調べてから持っていくのをやめて、先に予定を入れ、その日にできている分を持っていきます。8割で構いません。
先に言っておくと、これは適当でいい・手を抜いていいという話ではありません。むしろ逆です。
8割を9割に上げる労力に比べて、9割を10割にする労力は大きすぎます。そのうえ、そもそも向きが先輩や指導教員とずれていたら、そこにかけた労力は全部無駄になります。だから、早い段階で目線を合わせておくほうが結果的に速いんですよね。
時間が取れない週もあると思います。そういうときは「今回はここだけ相談させてください」と一点に絞って持っていけば十分です。予定を先に押さえておくと、そのときの最大限を出せばよくなります。
一つだけ、崩さないほうがいいと思っていることがあります。目上の人の時間をもらっている、という前提です。 人の時間を取るのは、それ自体がとても重いことなので。何を見てほしいのかを先に伝えて、終わったらお礼を言う。それだけで、次も見てもらえます。
見せ方そのものの型は、別記事で詳しく書いています。


まとめ:待っていても来ます。でも自分から行くほうがしんどくないです
待っていれば見てもらえる時期は来ます。ただ、自分から行くほうが、待つ1年よりしんどくないです。
私が放置されていたのは、だいたい1年くらいでした。
学部3年のころから周りには研究する雰囲気があったのに、自分はなかなか見てもらえませんでした。学部4年で卒論が見えてきたあたりから徐々に見てもらえるようになって、修士に入ってからは完全に見てもらえました。
それでも、自分から行ったほうが心的に健全だと思います。1年間ずっと「なんで自分だけ」と考えているのは、しんどいので。
- 放置の原因は3つある
話す機会が生まれていない、一人でできそうに見えている、研究室が見る時期を決めている。研究の出来の話ではありません。 - きっかけは「近い研究」から作る
同じテーマでなくていい。違う手法を持つ二人だからこそ掛け合わせの話になり、一緒にやる必要が生まれます。 - そこから週1で話す場を作る
教授に頼んで相手を決めてもらうか、似た研究の相手と始めるか。場ができれば前後の雑談でも聞けます。
就活が始まると、研究室との距離の取り方はまた別の悩みになります。その時期の話はこちらで書いています。


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