この記事でわかること

飲食店のキッチンできつかったことが、そのまま社会に出てから身についたことでした。
あきら✅ 学部2年の頃、周りが気になって悩んだ時期がある
✅ 修士1年(M1)の夏で辞めて、今は社会人2年目
✅ 別のバイトを学部1・2年で辞めた経験もある
「なんで同じ時給なのに、自分ばかり大変な思いをしてるんだろう」
飲食店で働いていると、そう思う瞬間、ありませんか。私も学部2年の頃、仕事に慣れてきたあたりで周りの動きが気になるようになりました。手を抜いているように見える人がいる、店長も長く働いているパートの方も全力ではないように見える。当時の私には、そう映っていました。
この記事は、飲食店のバイトがきついと感じている学部生と、これから始める学部生へ、キッチンで働いて今は社会人2年目という立場から、あのきつさが会社で何に変わったかをお伝えするものです。
先に言っておくと、「だから続けろ」という話ではありません。私自身、別のバイトを学部のうちに辞めています。
結論:きつかったことが、そのまま身についたことだった
私がきつかったのは主にこの3つで、その3つがそのまま、社会に出てから使えるものになりました。
飲食のバイトというと「コミュニケーション力が身につく」とよく言われます。ただ私はキッチンにいたので、お客さんと話す機会はほとんどありませんでした。仕込みをして、火を入れて、洗い場に立つ。それだけの毎日でした。
それでも、会社に入ってから「あ、これバイトでやっていたやつだ」と思う場面が何度もありました。しかも思い返すと、きつかったことほど、今も使えています。
- 注文は待ってくれない(混む前に間に合わせる) → 先に手をつけるようになった
- 年上ばかり(気を遣う) → 引く場面と言う場面が分かるようになった
- 手元だけ見ていたら回らない(全体が同時に動く) → 全体を見るようになった
もちろん、きついのはこの3つだけではありません。立ち仕事の体力、土日と夜がつぶれること、忙しくても時給がほとんど上がらないこと。そこにどう手を打てるかは、3つを書いたあとにまとめます。
それでも、この3つは研究室や授業で身につくものとは別のもので、社会に出てからよく使っています。一つずつ書いていきます。
注文は待ってくれないから、先に手をつけるようになった
混んでから動いたら間に合わない。だから先に仕込む。この癖が、会社では上司の指示を待たずに動くことに繋がりました。
キッチンでは、混んでからでは間に合いません。今日は何がどれくらい出そうかを読んで、一番混む時間が来る前に仕込んでおく。足りなくなってから動くと、その日はずっと追われることになります。これがきついところで、当時は本当に嫌でした。
会社に入ってからも、同じことをしていました。
上司から「これお願い」と言われる前に、たぶんこれが要るだろうというものを、少し雑でもいいので先に作っておく。そうすると、実際に頼まれたときには、たたき台がもうある状態です。あとは想定と違っていた部分だけ聞けば、その場で直して出せます。


逆に、この準備がないとどうなるか。一から十まで聞くところから始まります。聞いただけでは全部は分からないので、なんとなく分かった気になったまま作ってしまい、期限ぎりぎりに持っていって二度手間になります。
ただ、これは慣れの問題だと思っています。頼まれる前に少しだけ手を動かす癖がつけば、そこからは抜けられます。
先に動くのは、自分の作業だけの話ではありません。 人の返事が要るものも、同じように先に出します。確認をお願いする、依頼を出す、質問を送る。相手が動いてくれている間に、自分ひとりで終わるものを進める。キッチンで、火を入れている間に次を切っていたのと同じです。
年上ばかりだから、引く場面と言う場面が分かるようになった
身についたのは、仲良くなる方法ではありません。相手を立てる場面と、自分の意見を言う場面を使い分けられるようになったことです。
キッチンは、だいたい年上ばかりです。社員の方、長く働いているパートの方。親と同じくらいの年代の人と、同じ時間に同じ場所で働きます。大学の中にいると、こういう場面はなかなかないじゃないですか。
最初は、ここが一番こたえました。冒頭に書いたとおり、全力ではないように見える人が目について、自分ばかり損をしている気がしていました。
そこから抜けられたのは、他の人を理解できたからではありません。自分の中で、ここで働く意味を見つけられたからでした。
ただ、意味は探して見つかるものというより、続けているうちにあとから分かる類のものでした。今すぐ見つからなくても大丈夫です。どうしても見つからないときの目安は、最後のほうの章に書きました。
私の場合は、続けているうちに周りとの関係が変わってきました。あとから入ってきた後輩がついてきてくれるようになって、店長やパートの方とも打ち解けて、こちらからお願いしやすくなりました。
会社に入ってからも、やっていることは変わりませんでした。自分の意見は言う。ただし、相手を立てたほうがいい場面ではすっと引く。どちらにするかを、その場で決めます。
もう一つ、雑談の話もしておきます。たくさん話す必要はなくて、少し会話しておくだけで、教えてもらえることが増えるんですよね。こちらからは、新しく出たAIツールの話や、今流行っているものを伝えられます。教わる一方ではなく、こちらからも渡せるものがある。これが分かってから、年上の人と話すのがずいぶん気が軽くなりました。
分からないことを聞きやすくなる、少し融通を利かせてもらえる、前向きな空気の中で働ける。それだけで、毎日の働きやすさがかなり変わります。
手元だけ見ていたら回らないから、全体を見るようになった
自分の作業だけ見ていると詰まります。キッチン全体を見ながら動いていたことが、そのままチームでの動き方になりました。
キッチンでは、洗い場も仕込みも調理も同時に動いています。自分の手元だけ見ていると、どこかが詰まって、結局あとの作業が全部遅れます。だから、自分の手を動かしながら全体の状態も見ておく必要がありました。これもきついところです。
会社に入ってからも、同じでした。
言われる前に動けるというのは、単に気が利くという話ではありません。今チームに何が足りていないのかが、全体を見ているから分かるということです。キッチン全体を見ながら自分の手を動かしていたのと、たぶん同じです。


急に別の仕事が入ってきて、どう見ても全部は終わらない、という日もあります。そういうときは、どれを先にやるかをその場で決めて、周りに一言確認します。そして後回しにしたものは、黙って抱えずにチームに伝えます。手伝ってもらえることもありますし、「それは後でいい」と、周りとの認識がそろうこともあります。
もう一つ、疲れているときでもできる作業を、いくつか決めておくようにしています。頭が働かない時間帯に難しいことをやろうとしても進まないので、そういうときは、決めておいた作業に回します。キッチンでいえば、手が空いたときの洗い場です。
よく言われるきつさは、意外と手を打てる
体力と時間は、見方と組み方でだいぶ変わります。時給だけは、受け入れるしかありません。
飲食のバイトがきついと言われるとき、だいたい出てくるのがこの3つです。◯が手を打てるところ、△が受け入れるところです。
| きつさ | 手の打ち方 |
|---|---|
| 立ち仕事で体力を使う | ◯ 動きながら稼げる。ジム代も通う時間もいらない |
| 土日と夜がつぶれる | ◯ 土日は片方だけ、ピークだけ入る、で組み替えられる |
| 時給がほとんど上がらない | △ ここは受け入れる。お金になるのは社会に出てから |
体力は、私はむしろプラスだと思っています。 運動しようと思ったら、一駅手前で降りて歩くか、ジムを契約するかになります。どちらも時間かお金がかかります。バイトなら、動きながらお金をもらえています。同じ疲れるなら、こちらのほうが得だと感じていました。
土日と夜は、確かにつぶれます。ただ、組み方で変えられます。 土日はどちらか一方だけにする。平日は朝のうちに勉強を済ませて、そのまま昼のピークに入る。夜のピークだけ入る。ピークの時間に入れる人は店側も助かるので、希望は通りやすいほうです。全部を空けておく必要はありません。
時給は、受け入れるしかありません。 どれだけ忙しく動いても、そこはほとんど上がりません。ただ、ここまでに書いた3つは、社会に出てから重宝されます。お金になるのは、そのあとです。
ただし、きついなら続けなくていい
ここまで3つ書きましたが、この3つのために我慢して続けてほしい、という話ではありません。
私自身、学部1・2年の頃に別のバイトを辞めています。飲食ではないところで、人とほとんど関わらない仕事でした。自分の中で意味を見つけられなくて、それなら飲食のバイトや研究、遊びに時間を使おうと思って辞めました。
目安は、その店で自分なりの意味を見つけられそうかだと思っています。雰囲気が合わなすぎる、この先も一緒に働きたいと思える人がいない。そういうときは、店を変えるのは大いにありです。ここに書いた3つは、その店でしか身につかないものではありません。
次を探すなら、応募してから実際に働き始めるまで2〜4週間かかることもあります。辞めると決めたら、次の応募は早めに動いておくと空白が短くて済みます。大学1年の夏に何から動くかは、こちらの記事にまとめています。


短期のバイトを一度やってみるのもおすすめです。私も一度だけやりましたが、まったく別の世界の雰囲気を知れます。別の世界を見るという意味では、やったことはないですが、リゾートバイトのようなものも向いているのかもしれません。
大学院に進む予定なら、話はまた少し変わります。院に入ってから、私はバイトの頻度を落として、最終的に辞めました。ここに書いた3つは学部のうちにやっておけば身につくもので、院の2年をかけて伸ばすものではないと感じています。
大学院生がバイト・奨学金・TA(授業の補助をする学内の仕事)をどの順番で考えるかは、こちらの記事に書いています。


まとめ:きつかった時間は、あとでちゃんと使える
飲食店のキッチンできつかったことを、もう一度並べます。
- 注文は待ってくれない → 先に手をつけるようになった
- 年上ばかり → 引く場面と言う場面が分かるようになった
- 手元だけ見ていたら回らない → 全体を見るようになった
きつかったことが、そのまま身についたことでした。
今きつい思いをしている方へ。今すぐ楽になる話ではないですが、その時間が時給分だけで終わることはないと思います。私は入社してから、何度もそれを実感しました。
これから始める方へ。ここに書いた3つは、続けた年数ではなく、毎日どう動いたかで身につきます。
就活でこの経験をどう書くか迷ったときは、先輩のエントリーシートを見るのが早いです。同じバイトの経験でも、どこを切り取って書いているかが分かります。


今の店で続けるなら、まずは次のシフトから、言われる前に一つだけ動いてみてください。店を変えると決めたなら、その判断も間違いではないと思います。
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