この記事でわかること
修士の間に、アジアとヨーロッパで計3回、国際学会に参加しました。3回とも発表者として、英語での口頭発表とポスター発表の両方を経験しています。
正直なところ、初参加は不安が大きかったです。英語で発表できるか、Q&Aで詰められたらどうするか、海外で勝手がわかるか。でも終わってみると、国内の学会とは全然違う体験で、やって良かったと素直に思えました。
この記事は、これから国際学会に初めて出る学生へ、3回参加した経験者の視点からお伝えするものです。 発表の準備から現地でのお金のこと、英語Q&Aのリアルまで、私が実際にやってみてわかったことをまとめておきます。
※本記事にはプロモーションが含まれます。
国際学会に出ると何が変わるか
JASSO業績優秀者返還免除での評価
大学院でJASSO第一種奨学金を借りている場合、業績優秀者返還免除の審査に学会発表の実績が反映されます。免除の枠はその年度に貸与が終わる第一種奨学生の30%以内で、その中で全額免除と半額免除に分かれます(出典:JASSO公式)。直近(2025年度)の認定結果では、大学院第一種の貸与終了者のうち全額免除がおよそ1割、半額免除がおよそ2割でした(出典:JASSO 認定結果の公表)。
そのうえで、国内学会と国際学会では評価の重みが違うと言われています。制度として明示されているわけではなく、どれだけ差があるかは専攻や大学によりますが、業績の件数を増やすときに、国内だけでなく国際学会を1〜2件入れておくと、審査での印象が変わると感じています。
返還免除を狙っている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

就活・キャリアへの影響
英語での発表経験は、就職活動で「英語が使える」ことを具体的に話せるエピソードになります。TOEICのスコアよりも、「国際学会で発表し、英語でQ&Aをこなした」という経験の方が、研究職・専門職の面接では説得力があります。
また、海外の研究者と直接やりとりする経験は、国内にいるだけでは得られません。視野が広がる実感があります。
院生でも学部生でも挑戦できる
参加資格は基本的に発表要旨を提出して採択されることだけなので、学部生でも出ることはできます。院生の方が多いですが、早い段階で一度経験しておくと、修士での動き方が変わります。
学部から学会に出ることのメリットについては別記事で詳しく書いています。

発表準備:最初の関門は英語のアブストラクト
まずは日本語で書いて、英訳・校正する
発表要旨(アブストラクト)は、最初から英語で書こうとしなくていいです。日本語でしっかり内容を書いてから、AI翻訳を使って英語にして、最後に校正サービスに出すという流れが現実的です。
使ったのはEditage(エディテージ)という学術英文校正サービスで、研究者の間ではよく知られています。ネイティブの専門家が内容を理解した上で校正してくれるので、AIだけの翻訳よりも完成度が上がります。特にアブストラクトは採択の可否に直結するので、一度は専門家に目を通してもらった方が安心です。
発表準備に使える本や英語論文の書き方の本は種類が多いので、定番から見てみてください。
スライドの英語化は分量が多く、時間がかかる
アブストラクトを出してから採択通知が来るまで少し時間があるので、その間にスライドの英語化を進めます。ただ、スライドは想像以上に分量があるので、通知が来てから焦って作るのはきついです。結果が出る前から少しずつ準備を始めておくのがおすすめです。
スライドの文言は、アブストラクトほど凝った表現でなくてよく、シンプルで明確な方がむしろ伝わります。
想定Q&Aは日本語で準備してもいい
Q&Aへの不安は、事前にある程度まで想定Q&Aを準備しておくと和らぎます。指導教員や研究室の先輩に「どんな質問が来そうか」を相談してリストを作り、日本語で自分の回答を整理しておきます。英語での受け答えは本番で対応するとして、「何を言えばいいか」を先に決めておくと焦りが減ります。
実際のところ、英語Q&Aで一番難しいのは「聞き取り」です。聞き取れないことへの不安の方が、話すことよりストレスでした。質問が聞き取れなかったときは、”Could you repeat that?” “Could you clarify your question?” など、聞き返す言い回しをいくつか頭に入れておくと安心です。
お金のこと:先に立て替えて、後から精算になる
大学からの補助は「後払い」が基本
国際学会への参加にあたって、大学から参加費の補助が出る場合があります。ただ、これは「参加後に領収書を提出して精算してもらう」形が多く、最初は自分で立て替えます。参加費だけで数万円かかることもあるので、精算が1〜2ヶ月後になる前提で、手元のお金に少し余裕をもたせておきたいところです。
補助の上限や対象範囲(参加費だけか、交通費・宿泊費も含むか)は大学や専攻ごとに違うので、早めに指導教員か事務に確認しておくのがおすすめです。
海外旅行保険は入っておきたい
海外での急な体調不良や、盗難・紛失のリスクを考えると、海外旅行保険には入っておくことをおすすめします。クレジットカード付帯の保険で対応できる場合もありますが、カードによって補償内容に差があるため、内容を事前に確認しておくのが安心です。
専用の海外旅行保険は、1週間くらいの日程なら数千円から加入できます。学会には発表という本番があるので、体調を崩したときに「保険がある」と思えるだけでも心強いです。
ホテルは早めに予約するほど安い
学会は参加者が集中するため、会場近くのホテルは早期に埋まりやすいです。採択通知が出たらすぐ予約を入れると、費用を抑えやすくなります。
海外のホテルを安く取るなら、国内外のホテルを横断で比較できるサービスが便利です。
現地でのリアル:英語対応とお金のトラブル回避
英語でのチェックインは大体なんとかなる
ホテルのチェックインは、相手も慣れているので思っているほど困りません。名前・予約番号・クレジットカードがあれば基本的に進みます。ただ最初は緊張するので、「チェックイン用の英語フレーズ」を数個確認してから行くと落ち着いて対応できます。
むしろ備えておきたいのは、トラブルが起きたときです。「部屋に不具合がある」「予約が見当たらない」といったやりとりになったときの言い方を、いくつか頭に入れておくと焦らずに済みます。
DCC(動的通貨換算)は断るのがおすすめ
海外のホテルや店でクレジットカード払いをするとき、「日本円で支払いますか?」と聞かれることがあります。これはDCC(Dynamic Currency Conversion)という仕組みで、現地通貨ではなく日本円で決済する方式です。
一見便利ですが、換算レートが銀行のレートより悪く設定されているため、実質的に高く支払うことになります。DCCを提示されたら「現地通貨で払う」と答えるか、端末操作で現地通貨を選ぶのがおすすめです。「Pay in local currency」「No, in local currency」で断れます。
クレジットカードはVisaかMastercardで
JCBは国内では使いやすいですが、海外では使えない店があります。国際学会への参加に合わせて、VisaかMastercardのカードを用意しておくと安心です。
カード選びについては別記事で整理しています。

英語力について:完璧じゃなくていい
実際に参加してみて感じたのは、「完璧な英語でなくても発表はできる」ということです。国際学会には英語が母語でない参加者もたくさんいて、発表者の英語もさまざまです。
大事なのは、内容が伝わること。スライドがわかりやすく、話すスピードが適切であれば、ネイティブ並みの発音でなくても問題はありません。
英語力そのものよりも、「英語で発表した」という経験の方が価値があります。一度経験すると、次回以降の心理的なハードルがぐっと下がります。
発表前に英語での口頭説明を練習したい場合は、オンライン英会話でビジネス英語のやりとりに慣れておくのも有効です。移動時間や隙間時間に音声で英語に触れておくだけでも、本番の聞き取りやすさが変わります。
移動中や隙間時間に英語の耳を鍛えるには、AmazonのオーディオブックAudibleも使いやすいです。![]()
まとめ
国際学会の参加に向けて、要点を整理しておきます。
- 発表準備: 日本語で書いてから英訳・校正→スライド英語化→想定Q&A準備
- お金: 大学補助の上限・精算タイミングを事前確認、旅行保険は入っておく、ホテルは早期予約
- 現地: VisaかMastercardを1枚用意、DCCは断って現地通貨で払う、チェックインは思っているより困らない
- 英語: 完璧な英語でなくても伝わる。聞き取れなかったときの対応を準備しておく
一度参加すると、「次はもっとうまくできる」という感覚を持って帰れます。JASSO免除の実績を積む意味でも、単純に経験としても、チャンスがあれば早めに挑戦してみてほしいです。
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