大学院は国立一択じゃない|私立で授業料免除を受けた院生の本音

目次

この記事でわかること

大学院選びは国立一択ではなく、私立の授業料免除まで見て研究内容で選ぶという記事の概要図解
免除まで見れば、学費の差は逆転することがあります
あきら
✅ 私立の大学院で授業料免除を受けた経験者(2年間で払った学費は半期分だけ)
✅ JASSO第一種奨学金も業績評価で全額返還免除
✅ 特別なセンスより、コツコツ継続で積み上げてきたタイプ
✅ 社会人になった今は、院で学んだ専門を活かして仕事中

大学院選びは、「国立一択」で考えなくていいと思っています。

院進を考えるとき、「私立は学費が高いから国立」と最初から決めていませんか? 私も昔はそう思っていました。

でも実際には、私は私立の大学院に進み、授業料免除のおかげで、2年間で払った学費は半期分だけでした。正直、この仕組みはもっと早く知りたかったです……。

この記事では、免除まで含めた学費の考え方、制度の調べ方、大学名に頼らない進学先の選び方を、経験者として正直に整理します。

「国立が安い」は、免除まで見ると逆転することがある

学費は「定価」ではなく「免除後の実質」で比べるのがおすすめです。

定価どうしで比べれば、国立が安いのは事実です。国立の授業料は標準額が決まっていて年間約54万円、修士2年間では入学金を入れて約135万円が目安です。一方、私立の大学院は分野で差が大きいものの、2年間で200万円前後かかることが多いです(出典:文部科学省 私立大学等の学生納付金等調査)。

えがおぷか
やっぱり私立って、お金がかかるイメージしかないけど……。
あきら
定価だけ見ればそうなんですよね。でも私立には成績優秀者向けの授業料免除や特待生制度を持つ大学があって、そこまで見ると景色が変わります。

私の場合、この免除のおかげで2年間で実際に払った学費は半期分だけでした。さらに奨学金も受けていたので、手元のお金だけで見れば、大学院の2年間はむしろプラスだったくらいです。

定価では国立に負ける私立が、免除まで入れると国立より安くなります。こういう逆転が実際に起きるんです。◯=向いている点、△=注意点で整理するとこうなります。

国立の大学院私立の大学院
学費の定価◯ 標準額で一定・低め
△ 定価から大きくは下がりにくい
△ 定価は高め(分野差が大きい)
◯ 免除で逆転できる可能性
授業料免除◯ 家計基準などの減免制度あり
△ 成績型の全額免除は限られる
◯ 成績優秀者向けの免除・特待生制度を持つ大学がある
△ 制度の有無・条件は大学で全く違う
研究環境◯ 提携データなど分野によって強い
△ 設備は研究室による
◯ 研究費・設備が充実している研究室もある
△ こちらも研究室によって差がある

大学院にかかるお金の全体像(学費・奨学金・研究費・学割)は、こちらの記事で詳しく整理しています。

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まず一歩:気になる大学院の「授業料免除・特待生制度」のページを、募集要項と一緒に開いてみる。

免除制度は入学前に調べられる

免除の情報は隠されていません。大学のホームページに載っていて、事務室に聞けば入学前でも教えてもらえます。

まずはホームページと募集要項を見る

授業料免除や特待生制度は、たいてい大学の公式サイトの「学費・奨学金」のページに明記されています。ただし、制度の名前も、対象も、枠の数も、大学によって全く違います。「私立ならどこでも免除がある」わけではないので、候補校ごとに確認してみてください。

事務室への問い合わせは、入る前でも大丈夫

調べても分かりにくいときは、大学院の事務室に直接質問するのがおすすめです。窓口はそのための場所なので、入学前の問い合わせでも普通に答えてもらえます。大学によっては、審査の基準まで教えてもらえます。礼儀を守って聞けば、身構える必要はないと思います。

私の場合:1年目は入試、2年目は研究の成果で決まった

参考までに、私が受けた免除の判定基準はこうでした。

一つ目は入試の成績。 1年目の免除には、大学院入試の点数が関係していました。つまり、院試を頑張ること自体がそのままお金につながります。

二つ目は大学院1年目の成果。 2年目の免除では入試の点数は関係なくなり、GPA・取得単位数・研究業績で判断されました。入学後に研究を真面目に続けた分が、そのまま学費として返ってくる仕組みです。

そしてこの「研究業績」は、JASSO第一種奨学金の返還免除の審査でも評価される項目です。つまり、やりたい研究を真剣にやるほど、授業料免除と返還免除の両方に近づきます。私はこの二重の後押しに助けられました。

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まず一歩:候補校の免除ページをブックマークして、分からない点を一つ、事務室にメールで聞いてみる。

進学先は大学名より、研究室の実績で選ぶ

偏差値や知名度ではなく、「やりたい研究とマッチする研究室か」で選ぶのがおすすめです。

お金の話を先にしましたが、本当の土台はこちらです。その分野の研究に共感できて、やりたいことができるかどうか。それがあってはじめて、免除を狙う意味も出てきます。調べ方は次の3ステップです。

researchmapで先生を調べ、学会の受賞者リストで研究室の力を見て、研究室訪問でマッチを確かめる3ステップの図解
進学先は大学名でなく、この3ステップで研究室から選びます

ステップ①:researchmapで先生を調べる

大学院の先生の経歴は、researchmapという公開データベースでほぼ確認できます。先生の名前と大学名で検索すれば、どこで学んできた人か、どんな論文を書いてきたか、得意分野は何かが見えます。国立の有名な先生が私立に移って研究室を持っている、というケースも珍しくありません。

その先生の研究の延長線上に、自分のやりたいことがあるか。まずここを自分で調べます。

ステップ②:学会の受賞者リストで研究室の力を見る

学会の学生発表の受賞者リストを見ると、面白いことに気づきます。並んでいる大学名が、いわゆる偏差値の序列と全然一致しないんです。聞いたことのない大学が受賞していることも普通にあります。

受賞は、研究の世界で渡り合えている何よりの証拠なので、研究室の過去の受賞歴・実績を見るのは、大学名を見るよりずっと参考になると思います。

ステップ③:研究室訪問でマッチを確かめる

調べた内容を持って、研究室訪問で先生に「こういうことをやりたい」と話してみます。私の印象では、大学院の先生は入学前かどうかに関係なく、研究に本気で興味を持っている学生にはフラットに、親身に応えてくれる方が多いです。まじめに調べてきた学生を邪険にする先生は少ない印象です。

研究室そのものの選び方(後悔しない4軸と、訪問で必ず聞きたいこと)は、こちらの記事で詳しく書いています。

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まず一歩:気になる分野の学会サイトで、直近の学生発表の受賞者リストを眺めてみる。

免除の実績は、大学名に頼らない自信になる

「免除を取った」という事実は、どこで戦っても揺らがない自信になります。

これは実際に経験して分かったことです。学会に出ると、東京の有名国立大の学生とも同じ場で発表し、質疑で議論することになります。私は私立の院生でしたが、全然負けないどころか、たくさんの賞をいただくことができました。

私が感じた傾向が一つあります。国立を外部受験する人は、学部4年を院試の勉強に使うことが多いです。一方、私立の内部進学組は学部3〜4年で専門の基礎を学び終えて、早ければ4年生のうちに研究を始めています。だから修士1年(M1)の春にはもう学会発表ができてしまうわけです。1年早く研究を始めている分、研究の蓄積で渡り合えるんです。あくまで私の周りを見ての感覚ですが、この差は大きいと思っています。

そして社会に出ると、大学名で人を見る場面は驚くほど減ります。「どこの大学出身?」より「どんな研究をしてきたの?」と聞き合うようになります。そのときに「業績で免除を取った」という事実は、誰にも奪われない自分だけの実績として残ります。社会人になると大体みんな一度は自信をなくすので……ここで揺らがない土台があるのは、本当に強いです。

国立が向いているケースも、正直にある

研究に必要な環境が国立にしかないなら、国立を選ぶのが良いと思います。

ここまで私立の良さを書いてきましたが、「とにかく私立が良い」という話ではありません。

データや提携が必要な分野は国立が強いことも

医学系の研究に進んだ友人を見て感じたことですが、有名な国立大学は、提携先との関係で外部の人がまず触れられない良質なデータを扱えることがあります。そういうデータがないと成立しない研究なら、国立が合っていると思います。判断軸はあくまで「自分の研究に何が必要か」です。

免除制度は大学による差が大きい

繰り返しになりますが、私立の免除制度は大学によって有無も条件も枠も全く違います。私の体験はあくまで一例なので、「私立なら安くなる」と思い込まず、候補校ごとに募集要項と公式サイトで確認してください。

院試に落ちても、切り替えられる

国立の院試に落ちてしまっても、そこで終わりではありません。私立の大学院には比較的門戸が広いところもあります。落ち込むより、「次は免除を狙いに行く。私立で優秀な人たちと出会って、そこで大活躍する」と切り替える方が、その後の2年間はずっと充実すると思います。大学院の良さは、いつからでも巻き返せるところです。

まず一歩:志望分野の研究に「何が必要か」を書き出して、国立・私立それぞれの候補を1つずつ挙げてみる。

まとめ:お金を払う側から、使う側へ

大学院選びは国立一択ではなく、私立の授業料免除まで含めて「研究内容×お金」で選ぶのがおすすめです。

  • 学費の比較は「定価」でなく「免除後の実質」で
  • 免除制度は入学前に、ホームページと事務室で確認
  • 進学先は大学名でなく、研究室の実績から
  • 免除の実績は、社会に出てからも揺らがない自信に

私立の設備の充実ぶりを見て感じたのは、「学生が払うお金で研究環境が支えられている」ということでした。だったら、免除と奨学金を取って、お金を払う側から、お金を使って研究する側に早く回る意識で動くだけで、大学院生活は変わると思います。

進学先選びでは、内部進学と外部進学の比較も同じくらい大事な軸です。迷っている方はこちらもどうぞ。

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ちなみに、院進を考え始めるころは、授業のTA(ティーチングアシスタント=大学院生の先輩)との接点が増える時期でもあります。もしTAの先輩のことが少し気になっているなら、こんな記事も書いています。

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