大学院進学を決めた学部4年生の皆さんに向けて、卒論執筆や院試準備、研究テーマの深掘りなど、この1年間でやるべきことを具体的にお伝えします。
この記事では、学部4年生の具体的なスケジュール例とポイントを現役院生の視点から解説します。
また、大学院進学を決めたばかりの4年生や、3年生の段階で進学を検討している方は、前編にあたる次の記事もぜひご覧ください。

3年生の1月から4年生の春:研究テーマ決定と深掘り
3年生の1月までに、徐々に英語論文を読み始めたかもしれませんが、ここからは最新の論文に触れることで、最先端の研究動向を把握していきましょう。
具体的には、Google Scholarや学術データベースを活用し、ベンチマーク論文やレビュー論文を集中的に読むことが重要です。
ベンチマーク論文は、その分野で広く参照される基礎的な研究であり、レビュー論文はその分野全体の流れや課題を効率よく理解するのに役立ちます。
これらを活用することで、研究初心者ながら自分の研究がどのように位置付けられるのかが見えてくると思います。
さらに、この時期ぐらいからは先輩や助教とのミーティングを活用して、調べた内容を共有し、方向性を確認することがおすすめです。
週1回程度のミーティングを設定してもらうことで、研究の進捗を管理しやすくなるだけでなく、他者の視点から新しい気づきを得られるチャンスにもなります。
また、ミーティングの準備を通じて、情報を整理し要点を抽出する力も自然と鍛えられます。
(ここらへんは別記事でしっかり書こうと思います。)
このフェーズで基礎をしっかり固めることで、4年生以降の研究や進学がスムーズに進むでしょう。
4年生の春学期:研究の方向性を固めるとともに院試準備を進める
4年春学期は、徐々に研究テーマ周りの調べ物から、自分の研究の方向性を決めていく時期です。
この段階では、既にベンチマーク論文やレビュー論文を参考にしていると思いますが、より具体的な研究テーマを絞り、「ある特定の手法に着目してこういう方向性での発展がよさそう」という計画を立てることが求められます。
一方で、外部進学を目指す場合は、特に院試の準備が本格化する時期でもあります。TOEICや専門試験の対策に加え、志望研究室へのアポイントや訪問が必要になることもあります。このため、春学期は研究と試験準備を効率よく並行して進めることが重要です。
春学期は研究、試験準備、卒業論文とタスクが多い時期ですが、この時期にしっかりと基礎を固めておくことで、後の負担を軽減することができます。時間を有効に使いましょう。
4年生の夏休み:院試とアウトプットの準備
4年生の夏休みは、院試対策をしながら研究のアウトプット準備を同時並行で進める期間です。
この時期が院試のピークとなります。TOEICや専門試験の対策を集中的に進めるとともに、研究計画書の完成度を高める必要があります。
また、研究の進捗をアウトプットに繋げるため、コツコツと研究自体も前に進めておくことも大切です。研究テーマによって取り組む内容が変わると思いますが、既存手法のより深い理解、実験計画やデータの収集などをしっかり進め、秋学期以降の卒論執筆や学会発表の準備となります。
また、この時期には、就職先が決まり夏休みを楽しんでいる同期の姿を目にすることもあるでしょう。
しかし、自分の選んだ道に自信を持ち、ひたすら目の前の研究に集中することが大切です。
その努力は、将来のキャリアにおいて大きな成果となって返ってくると信じて進みましょう。

4年生の秋学期:卒論執筆と成果のアウトプット
4年秋学期は、これまでの研究成果を卒論という形でアウトプットする時期です。この段階で、一定の研究成果をまとめるとともに、可能であれば学会発表にも挑戦するのもありです。
学会発表は研究業績として残り、ガクチカとしても活用できます。ガクチカとは、就活時に自分の取り組みを具体的にアピールするポイントのことです。
ここまで順調にできる人は限られるので、かなり有利に戦えると思います。
ただし、初めての学会発表は準備やプレッシャーが大きく、修士課程で発表する方が適している場合もあります。この話はどこかで記事にします。端的にいうと、JASSOの返還免除に効いてきます。
また、そもそも就活では協調性が問われるので、バイトをするとかコンペに複数人で出るとかしとくべきです。
4年生の1月からの春学期:既にあなたは稀有な存在
4年生の冬は、卒論を書ききり安堵する瞬間ですが、この時期に大学院進学後の春学期に待ち受ける「就活」「大学院の講義」「学会発表」というトリプルバンチの準備が必要になってきます。
ただし、ここまで研究にしっかり向き合ってきたあなたなら、進学後も余裕を持って対応できます。
修士1年の春から学会発表を積極的に行い、夏にはインターン参加、秋には学会発表や学会賞受賞、論文化へと進むステップを想像してみてください。就活とか負ける気がしないと思います。
これは、これまで努力してきたあなたなら十分に達成可能な未来です。
また、冬の間にここまで走ってきた中で見つかった課題や、やりたいテーマを整理することで、修士課程での研究計画をより明確にすることができます。
4年生の終わりの春学期は、このように準備期間として有効に活用しましょう。
まとめ:あなたにはもう怖いものはない
ここまでの大学生活を通じて、研究、院試、そして卒論執筆など、大学院進学に必要な要素を一通り経験してきたあなたには、もう怖いものはありません。
修士課程では、これまでの蓄積を活かして研究に集中できるだけでなく、就活でも必ず成果を出せるでしょう。そして、もしアカデミアに残り教員としての道を選ぶとしても、ここまで積み上げてきた努力が大きな力となりあなたを支えてくれるはずです。
修士課程は新しい挑戦の始まりです。これまでの経験を糧に、さらに高みを目指していきましょう。
大半が余裕に感じてくると思います。応援しています!