この記事でわかること

あきら✅ 研究を続けたくて、内部進学で修士まで進みました
✅ 結果、専門を活かせる枠で第一志望から内定
✅ 社会人になった今、院進で何が変わったかを整理します
「院進という言葉は聞くけれど、実際に何をする2年間なのかは分からない」。学部生のころの私が、まさにそうでした。
この記事は、理系で院進を選択肢に入れ始めた学部生へ、内部進学で修士まで進んだ私が、院進で何が変わるのか、向いている人の見分け方、出願までにやることをお伝えするものです。
先に結論を言うと、院進は「2年遅れるだけ」の選択ではなく、就活とキャリアの戦い方が変わる選択です。 ただ、誰にとっても良いとは限りません。この記事では、何が変わるのか、向いているかどうかの見分け方、出願までの段取りの順でお伝えします。今の時点で決まっていなくて大丈夫です。
※本記事にはプロモーションが含まれます。
前提|この記事は理系の院進を想定しています
私が経験したのは理系の内部進学なので、その前提で書いています。
文系の大学院は、進学する人の割合も、修了後の進路も理系とは違います。私に経験がないので、この記事では扱いません。理系で、大学院に進むことを考え始めた人に向けて書いています。
院進とは|生活の中心が、授業から研究に移ります
院進とは、学部を卒業したあとに大学院へ進み、2年かけて修士号を取ることです。理系ではよくある進路で、学部と一番違うのは、授業ではなく研究が一日の中心になることです。
時間割が埋まっている毎日は終わり、自分で計画を立てて研究を進める2年間になります。決められたことをこなすのではなく、何をするかから自分で決めます。
具体的には、週に1回ほどのゼミで進捗を説明して、それ以外の時間は自分の実験や解析に使う、という形が多いです。学部の卒業研究が、授業のない状態で2年続くと思ってもらうと近いかもしれません。学会で発表したり、他大学の人の発表を聞きに行ったりするのも、この2年でやることの一つです。
だからこそ、修士の先にやりたいことがあるかどうかで、2年の過ごし方が変わります。ここは「向き不向き」の章で書きます。
実際の一日の過ごし方は、別の記事で時間順に書いています。


結論|専門性・自己理解・職種選び・初任給の4つが変わります
学部卒との違いが出るのは、この4つです。メリットと注意点の両方があります。
まずは下の表で、学部卒と院卒で何がどう違うのかを見てみてください。4つの軸ごとに、◯(メリット)と△(注意点)を並べています。
| 軸 | 学部卒 | 院卒 |
|---|---|---|
| 専門性 | ◯ 実務で専門を身につけられる △ 専門性はまだ浅い | ◯ 研究の中身を面接で話せる △ 勝負するのは2年後 |
| 自己理解 | ◯ 実務に出てから深まる △ 就活の時点では言葉にしづらい | ◯ 自分の得意な組み合わせが見える △ 見えるまでに時間がかかる |
| 職種選び | ◯ 職種を幅広く見られる △ 入ってから「思っていたのと違う」も | ◯ 専門を活かせる職種を狙いやすい △ 専門と違う配属もある |
| 初任給 (働き始めの収入) | ◯ 2年早く稼ぎ始められる △ 初任給は院卒より低め | ◯ 高めに設定されることが多い △ 数年たつと追いつかれることもある |
実感|4つのうち、体験から話せるのは専門性と自己理解です
面接で話せることが増えたのと、自分の得意な組み合わせが見えたのが大きかったです。職種選びと初任給にも、最後に短く触れます。
専門性:研究の中身を、面接でそのまま話せます
私は職種を決めて応募しました。総合職ではなく、専門を活かせる枠での内定です。ここまで決まったのは、大学院で身につけた専門性を面接で説明できたからだと感じています。
面接で掘り下げられたのは、成果そのものより過程でした。学部の実験と違って答えが決まっていないので、詰まったところと、そこで自分がどう判断したかを説明できます。
同期には、専門と関係なく総合職を受けて、そのまま進んだ人も普通にいました。専門と違う道に進んでも、研究で何をどう決めて進めたかは面接で話せます。分野が変わっても通用するのだと思いました。
今の段階では、登録して求人を眺めてみるだけでも十分です。アカリクは無料で、院生向けの求人が分野ごとに並んでいます。自分の分野で、どんな会社が院生を募集しているのかが数分で分かります。研究内容まで書き込んで企業から声がかかるようにするのは、研究室が決まってからで大丈夫です。
自己理解:2年で、自分の得意な組み合わせが見えてきます
研究室では、自分で決めて進めることになります。研究を進めながら、学会で他大学の人と話すうちに、私は3つのことに気づきました。
一つ目は、大学名は関係ないということです。他大学の人の発表を聞いていると、大学の名前と研究の面白さは別だと分かってきました。
二つ目は、分野によって得意不得意が出るのは当たり前だと分かったことです。できないのは自分のせいではありません。ここが分かってから、苦手意識がなくなりました。
三つ目が一番大きくて、一つの領域だけでは勝てないけれど、複数の領域を掛け合わせると自分だけの得意領域ができると気づいたことです。私が勝負できるのはそこなのだと、2年かけてやっと言葉にできました。
この3つが分かったので、就職先を「なんとなく良さそう」で決めずに済みました。
職種選び・初任給:専門に近づけますが、収入の差は縮まることもあります
専門に近い部署を狙って応募できるようになります。とはいえ、入社後の配属までは選べません。初任給は院卒の方が高く設定されることが多いですが、学部卒が2年早く実務を積めることもあって、数年たつと差が縮まることもあります。長い目で見てどちらが得とは言い切れません。
中長期でどうなるかは、別の記事で詳しく書いています。


向き不向き|条件で答えが出なければ、あとは修士の先に気持ちが向くか
先に条件だけで決まる場合があります。そこで決まらなければ、あとは修士の先に気持ちが向いているかどうかだと思っています。
条件:学費と職種の要件で、先に答えが出ることもあります
気持ちの問題より前に、条件だけで判断できる場合があります。
- 学部卒で就ける職種を志望している人。院卒が要件でないなら、2年を院に使う理由は弱くなります
- 早く稼ぎたい人。学費がかかるうえに、働き始めるのが2年遅くなります
職種の方は、就きたい仕事がまだ決まっていないなら、ここで院進を外さなくて大丈夫です。気になっている分野の求人をいくつか見れば、院卒を前提にした募集があるかどうかは見当がつきます。
学費は、下げられる余地があります。在学中に払う授業料そのものを減らせるのが授業料免除で、私の場合は1年目が全額免除、2年目が半額免除でした。これとは別に、借りた奨学金の返済義務がなくなる返還免除もあって、こちらも受けることができました。どちらも成績や家計の審査があり、大学ごとの枠もあるので、出せば通るものではありません。ただ、出さなければ何も変わらないので、募集の時期だけは先に調べておく価値があります。


学費を下げられても、働き始めるのが2年遅くなること自体は変わりません。そこが引っかかっているなら、条件の側で答えが出ています。それは院進を諦めたのではなく、先に働くという順番を選んだということだと思っています。
気持ち:動機より、修士の先に気持ちが向いているか
よく「逃げで院進するな」と言われます。ただ私は、就活がうまくいかなかったから院に行く、というのも選択肢としてありだと思っています。大事なのは動機がどう見えるかではなく、修士の先に気持ちが向いているかどうかです。
厳しいのは、修士の先に何もイメージがないまま入ってしまう場合です。研究は自分で決めて進めるものなので、その先がないと2年を長く感じる人が多いように思います。逆に、行きたい方向がある人は、決まった手順をなぞるだけでなく、自分で条件を変えて試すことが増えます。そうしているうちに、研究テーマを自分の言葉で説明できるようになります。
「就活で気づいたこの分野をやりたい」「この2年で方向を決めたい」と言えるなら、きっかけが後ろ向きでも大丈夫だと感じています。もう少し時間が欲しくて選ぶのも、自分でそう決めたのなら同じように問題ないと思っています。
私の場合は、社会人になってから大学院に戻る道もあると考えたうえで、それでも今だと思って進みました。今いる仲間と朝から晩まで議論したり、ゼミで対等に話し合ったりできるのは学生のうちだけで、社会人になってから戻ろうとすると、不確かなことが多いと感じました。今いる先生や先輩のもとで学べることに価値を感じたので、このまま進もうと決めました。
今は何も言えなくても、それは向いていないということではありません。学部の時点で修士の先まで見えている人は、そう多くないと思います。私も、進学を決めた時点ではっきりしていたわけではありませんでした。今の時点で答えがなくても、出願までの間に見つけられれば間に合います。
研究室のサイトを見る、先輩に話を聞く。先輩には「そのテーマをなぜ選んだのか」と「入る前と後で一番違ったこと」の2つを聞くと、研究室に入ったあとの過ごし方が具体的に分かります。
なお、「院進=研究者になる道」と思って迷っているなら、そこは切り離して考えて構いません。


院進と就職をもう少し細かく比べたいときは、こちらで研究への興味・お金・将来像の3つに分けて整理しています。


準備|点数より、出願と就活の段取りで決まります
向いていそうだと思えたら、次は準備です。気になるのはGPA・TOEIC・夏インターン・開始時期の4つだと思います。GPAは入試の選び方で決まり、TOEICと開始時期は締切からの逆算で決まります。インターンは、行けなくても間に合います。
GPA:低くても出願できる入試はあります
成績で足切りされるのは主に学内推薦(成績上位者が筆記免除などで進める枠)のときで、一般入試では出願要件として成績の基準が示されていないことが多いです(成績証明書の提出自体は求められます)。推薦が難しそうでも、一般入試に切り替えれば取り返せる余地があります。終わった成績はもう変えられません。低いと分かった時点で、残りの時間を何に使うかを決めた方が動きやすくなります。具体的には、一般入試に切り替える前提で過去問を早めに取り寄せる、研究室訪問を1件早く入れる。成績を気にして過ごすより、この2つを先に済ませた方が、出願の準備は進みます。
どの入試なら成績が問われないのか、低いと分かってから何をすればいいのかは、こちらで整理しています。


TOEIC:高得点より、出願に間に合わせること
私が受けた院試は、当日に英語を解くのではなく、出願時にTOEICのスコアを出す形式でした。そのときの私のスコアは、胸を張れる点数ではありませんでした。それでも進学はできました。800点程度まで伸ばしたのは院に入ってからで、出願の時点では対策らしい対策もしていませんでした。
なので、点数そのものより気をつけてほしいのは日程です。TOEICは申し込みの締切が試験日の約1か月半前です。結果が出るまでにも時間がかかります。ネットで見られるのは受験から約2週間半後、紙の認定証は試験日から30日以内の発送なので、手元に届くのはさらに後になります。日程は回によって変わるので、公式サイトで最新の情報を確認してみてください。出願の締切から逆算しておかないと、受けようと思った時点では間に合わないことがあります。出願に必要かどうかを早めに調べて、1回受けておくのがおすすめです。
英語の勉強が続かない人は、こちらも読んでみてください。やる気ではなく、サボった翌日に戻る仕組みで続ける方法を書いています。私も何度もサボりながら800点まで伸ばしました。


インターン:M1の夏に行けなくても間に合います
院進すると就活は大学院1年(M1)から始まります。インターンもM1の夏が本番なので、学部のうちは知っておくだけで十分です。M1の夏に1社でも行っておくと後で助かりますが、行けなくても間に合います。
M1の夏にインターンへ行けたときのために、院生が面接や現場で何を見られるのかは別の記事にまとめています。


私は1〜2dayの短いインターンに少し顔を出した程度で、そこから内定につながったわけではありません。それでも約3か月の就活で第一志望から内定をもらっています。分野や志望先で変わるところなので、私の場合はそうだった、くらいに受け取ってください。
夏に本格的なインターンへ行かなかった分、秋以降にどう動いたかはこちらに書いています。


開始時期:学部3年でも4年でも、順番を決めれば間に合います
準備は早いほど余裕が出ます。学部3年なら、今学期のうちにTOEICを1回受けて、春休みに研究室訪問を1件。この2つを済ませておくと、出願前にやることがぐっと減ります。
一つだけ締切があるとすれば英語です。出願が夏なら、TOEICは春までに1回。申し込みも結果も1か月単位で時間がかかるので、ここだけは早めに押さえておくと、あとが楽になります。
学部4年の春から動き始めても間に合います。その場合は英語のスコアを先に取っておいて、研究室訪問はその次、という順番にすると慌てずにすみます。
春・夏・秋でもっと細かく決めたい人は、時期別に整理しているので、こちらを見てみてください。


院に進んだあと研究の成果が出なかったら就活で不利になるのでは、という不安があるなら、学会発表なしの修士就活|不利にならない3つの理由を先に読んでおいてください。選考がいつ来て、何を見られるのかが分かると、進学の判断もしやすくなります。
まとめ
院進で変わるのは、就活やキャリアの戦い方です。「2年遅れるだけ」の話ではありません。
- 専門性:研究の中身を、面接でそのまま話せます(勝負するのは2年後です)
- 自己理解:自分の得意な組み合わせが見えて、進路を選ぶ手がかりが増えます(見えるまでには時間がかかります)
- 職種選び:専門を活かせる職種を狙いやすくなります(配属は保証されません)
- 初任給:学部卒より高く設定されることも多いです(数年で追いつかれることもあります)
早く稼ぎ始めたい人や、学部卒で就ける職種を志望している人には、学部就職の方が向いていると思います。
向いているかどうかは、動機のきれいさでは決まりません。就活がうまくいかなかった人でも、その2年で行きたい方向が定まるなら、院に行く理由として十分だと思います。
学費と職種の要件で先に答えが出るなら、それで構いません。そこで決まらなかったときに残るのが、気持ちが修士の先に向いているかどうかです。2年後に、気になっている分野の話をしている自分が、少しでも想像できますか。
同じ2年でも、途中で方向が見つかっていれば、身につくものは変わります。それは入る前に決まっている必要はありません。私もそうでした。
今日やるなら、気になる研究室のサイトを一つ開くところからで十分です。そのあとに募集要項で英語のスコアが必要かを確認し、最後に、修士を出たあと何をしていたいかを一行書いてみてください。
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